「高いお金を払ってプログラミングスクールを卒業しても、就職先は結局SES企業ばかりになるんじゃないか…?」
あなたは今、こんな深刻な不安を抱えていませんか?
SNSやネットの口コミでは、「未経験からの転職はSESに誘導される」「自社開発は夢のまた夢」といったネガティブな情報が溢れており、せっかくIT業界を目指したのに、モチベーションを失いかけているかもしれません。
でも、ご安心ください。その不安は、この記事で完全に解消されます。
プログラミングスクール卒業後のキャリアは、決して「SESしか道がない」という一本道ではありません。大切なのは、業界の構造と、あなたが目指す企業(自社開発・優良受託)への内定を勝ち取るための具体的な戦略を知ることです。
- この記事を読むことで得られる「究極のベネフィット」
- 【実態調査】プログラミングスクール卒業生の転職先はSESばかりなのか?
- なぜスクール卒業生はSES企業を紹介されやすいのか?業界の裏側を解説
- SES企業への就職は「悪」なのか?メリット・デメリットを徹底比較
- SES企業の中でも「優良・ホワイト企業」を見極める3つの視点
- 未経験から自社開発企業へ就職するための「転職戦略ロードマップ」
- プログラミングスクールの選び方:SES就職を避けたい人が見るべきポイント
- SESを経由しても自社開発へ行ける!キャリアアップのための戦略
- よくある質問(FAQ)
- まとめ
この記事を読むことで得られる「究極のベネフィット」
この記事は、プログラミングスクール卒業生の「就職のリアル」を、業界の裏側まで徹底的に調査・分析した究極の対策ガイドです。
この記事を最後まで読めば、あなたは以下の疑問や不安を全て解決し、自信を持って転職活動を進められるようになります。
- ネットで言われる「SESばかり」という噂の真実の割合と実態を具体的なデータに基づいて理解できる。
- スクールや転職エージェントがSESを優先する「人材紹介料ビジネス」の構造と、その裏側がわかる。
- SESという働き方が「悪」ではないことを理解し、優良・ホワイトなSES企業を確実に見極めるチェックポイントを習得できる。
- SESを回避し、競争率の高い自社開発企業の内定を勝ち取るための、在学中から始めるべき具体的な「転職戦略ロードマップ」を手に入れられる。
- 仮にSESを経由した場合でも、最短で自社開発へキャリアアップするための行動計画が明確になる。
SESという選択肢を正しく理解し、自分の意志でキャリアを選ぶこと。これが、あなたの市場価値を最大化する鍵です。
さあ、曖昧な情報に惑わされるのはもう終わりにしましょう。あなたの未来のエンジニア像を、この記事から一緒に描き始めましょう。
【実態調査】プログラミングスクール卒業生の転職先はSESばかりなのか?
プログラミング学習を始めた人が抱える最大の不安、それが「卒業後の就職先はSES(System Engineering Service)企業ばかりなのではないか?」という疑問です。この疑問に明確な答えを出すため、まずはネット上の噂の真偽を具体的なデータに基づいて検証し、IT業界全体の構造からその背景を読み解きます。
ネットで言われる「SES就職の割合」の真実と、その背景
結論から言えば、「卒業生の全員がSESになるわけではないが、未経験者の就職先としてSESの割合が高いのは事実」です。しかし、この「割合」には、いくつかの誤解と構造的な背景が隠されています。
真実①:未経験エンジニアの入り口としてSESの求人が圧倒的に多い
日本のIT業界において、企業に常駐して技術を提供するSESというビジネスモデルは非常に大きな割合を占めています。経済産業省の調査などを見ても、ITエンジニアの約6〜7割が何らかの形で客先常駐や外部プロジェクトに関わると言われています。そのため、転職市場に出回る未経験者向けの求人全体のうち、SES企業からの募集が多数を占めるのは自然な現象です。
真実②:スクール側の「転職成功率」定義が曖昧な場合がある
多くのプログラミングスクールが謳う「転職成功率90%以上」といった数字は、職種を問わず内定を獲得すればカウントされます。SES企業は未経験者の採用に積極的であるため、スクール側としては、SES企業と提携することで「内定実績」を効率よく積み上げやすいという側面があります。この実績づくりが、結果的にSES企業への紹介数が多いという現象を生み出す背景の一つです。
【注意すべき誤解】
「SESばかり」という噂は、SESという働き方が持つ負の側面(案件ガチャ、スキルが伸びないリスク)が誇張されて広まることで、心理的に「SES=悪」というイメージが定着していることも一因です。しかし、後述するように、SESの中にも優良企業は存在します。
大手スクール卒業生のSES vs 自社開発/受託開発の具体的な内訳
ネット上の抽象的な議論から離れ、具体的なスクールの実績を見ることで、卒業後のキャリアパスの多様性が理解できます。ただし、スクールによって公表データに違いがあるため、ここでは代表的なキャリアパスの分類とその実態を解説します。
キャリアパスの3分類と未経験採用のハードル
| 企業形態 | 事業内容 | 未経験採用の傾向 | 採用で重視されるポイント |
|---|---|---|---|
| 自社開発企業(Web系) | 自社サービス(SNS, EC, アプリなど)の開発・運営 | 非常にハードルが高い(選考倍率高)。 | オリジナルポートフォリオの質、コードの可読性、技術への強い探究心。 |
| 受託開発企業(SIer含む) | クライアントのシステム受託開発(企画〜納品まで) | 中程度のハードル。ポテンシャル採用あり。 | コミュニケーション能力、計画性、チーム開発への適応力。 |
| SES企業 | クライアント企業への技術提供(客先常駐) | 最もハードルが低い。ポテンシャル重視。 | 社会人マナー、学習意欲、現場でのコミュニケーション能力。 |
実際のデータが示す内訳の傾向
大手プログラミングスクールの公表実績(※非公開情報を含むため具体的な数値は変動しますが、傾向として)を見ると、卒業生の就職先は**「SES企業:約30%〜50%」「自社開発・受託開発・その他:約50%〜70%」**というパターンが多く見られます。
- 自社開発への内定者は、総じてポートフォリオの完成度が高く、技術への熱意を明確に示している傾向があります。
- SES以外の受託開発企業は、未経験者でも丁寧に育成する体制を持つ企業が多く、特に大手SIer系はSES企業とは明確に区分されます。
つまり、「SESばかり」というのは、「SES以外の優良企業への転職を成功させるには、それに見合う努力と戦略が必要」ということを意味しており、諦める理由にはなりません。
SES企業が未経験者を積極採用する構造的な理由
SES企業が未経験のスクール卒業生を歓迎する背景には、単なる「人手不足」だけでなく、SESのビジネスモデルに起因する合理的かつ構造的な理由があります。
理由①:景気変動に左右されない高い人材需要
SES企業は、クライアント企業の人材需要に応じて柔軟にエンジニアを供給する役割を担っています。IT業界全体で常に人材が不足しているため、特に専門性の低い「開発の初期段階の業務」や「テスト・保守運用」といった分野では、未経験者でも受け入れられる土壌があります。これにより、SES企業は常に一定の「未経験者枠」を確保しているのです。
理由②:給与構造と教育コストのバランス
未経験者は、最初から高い給与水準を求めない傾向があるため、企業側は比較的低い給与水準で採用し、現場で実務経験を積ませることができます。自社開発企業のように、教育のために多額のコスト(専用の研修施設、専任講師など)をかける必要が少なく、現場のOJT(オンザジョブトレーニング)に依存できるため、未経験採用への経済的なハードルが低いのです。
理由③:「客先常駐」が未経験者の育成環境となり得る側面
優秀なSES企業は、客先常駐を「短期間で多様な開発環境を経験できる」というポジティブな育成機会と捉えています。スクールで学んだ基礎知識だけでは足りない「現場の空気」「コミュニケーションの取り方」「実務でのエラー対応」などを、比較的負荷の低い環境で経験させることで、早期に戦力化しようという戦略があります。
このセクションでSES就職の「リアル」を理解した上で、次のセクションでは、なぜスクールがSES企業を紹介しやすいのかという「業界の裏側」をさらに深掘りし、あなたのキャリアをより有利に進めるための知識を固めていきましょう。
なぜスクール卒業生はSES企業を紹介されやすいのか?業界の裏側を解説
前のセクションで、「SES就職の割合は高いが、全てではない」という実態を理解しました。では、なぜ多くのプログラミングスクールや転職エージェントは、生徒や利用者にSES企業を優先的に紹介する傾向にあるのでしょうか?
その背景には、教育ビジネスや人材紹介ビジネスの構造的・金銭的なインセンティブが深く関わっています。この「裏側」を知ることは、あなたが本当に望む企業に転職するための強力な防御策であり、交渉材料になります。
スクールとSES企業の「人材紹介料ビジネス」の構造と仕組み
プログラミングスクールの多くは、生徒を企業に紹介することで、企業側から「人材紹介料」を受け取るビジネスモデルを持っています。この紹介料の金額や仕組みこそが、SES企業への紹介が優勢になる最大の原因の一つです。
① 成約時の紹介料が高額である
一般的に、人材紹介ビジネスにおいて企業がエージェントやスクールに支払う紹介料は、採用者の「理論年収の30%~35%」が相場と言われています。しかし、未経験者が集中するSES企業の一部では、この料率が高く設定されたり、特別な提携契約によって一件あたりの固定額が高額になったりするケースがあります。
特に、スクールと企業が「パートナーシップ」を結んでいる場合、スクールはSES企業から安定した人材紹介料を得られるため、卒業生のキャリア志向よりも「確実に紹介料を得られるルート」を優先してしまうインセンティブが働きます。
② 採用決定までのスピードが速く、確実性が高い
自社開発企業は、採用プロセスが厳格で選考に時間がかかり、内定辞退のリスクもあります。対照的に、慢性的な人手不足にあるSES企業は、書類選考のハードルが低く、面接回数も少ない(1~2回)傾向があります。これにより、スクール側は短期間で「転職成功実績」を積み上げやすく、スクールの経営指標である「卒業生の転職決定率」を効率よく高めることができます。
【知っておくべきこと】
スクールが提示する「転職成功率」は、SES企業への就職も含んだ数字であり、その裏側には、スクールとSES企業との間の安定した「紹介パイプ」が存在していることを認識しておくべきです。
エージェントがSES求人を優先する「成約しやすさ」と「効率」の問題
プログラミングスクールが提携するキャリアアドバイザーや、一般の転職エージェントも同様に、「効率性」を追求するがゆえにSES求人を中心に紹介する傾向があります。
① 未経験者に自社開発求人を紹介する「工数」が大きい
自社開発企業は、応募者のポートフォリオや技術的な背景を深く審査するため、エージェント側も応募者のスキルや志望動機を細かく分析し、企業側の採用担当者と綿密なすり合わせを行う必要があります。これは、エージェントにとって非常に大きな工数(時間と労力)を要します。
一方、SES求人は、応募者の最低限のポテンシャルと社会人スキルがあれば採用されやすいため、エージェントは「紹介すれば決まりやすい」という効率性に惹かれます。エージェントもビジネスである以上、「紹介が成立しやすい求人」を優先するのは自然な行動原理です。
② ポートフォリオの品質によるフィルター
未経験者のポートフォリオの平均的な品質は、どうしても自社開発企業の求める水準に満たないことが多いです。自社開発企業への応募で何度も不採用になると、エージェントは「この応募者には自社開発は難しい」と判断し、比較的ハードルの低いSES求人へと紹介の舵を切る傾向があります。
これは、エージェントが応募者のキャリアよりも「内定の獲得」を優先し、応募者が転職市場から離脱するのを防ぎたいという意図も含まれます。
SES求人を回避するためのエージェントへの伝え方
もしあなたがSESを回避したいなら、エージェントに対して初期段階で明確な意思表示をする必要があります。
- 「SES企業への応募は一切考えていません」と断言する。
- 「自社開発・受託開発(SIer含む)のみを希望します」と、希望の企業形態を具体的に伝える。
- 「ポートフォリオの審査が厳しい企業に挑戦したい」と伝え、自身の技術レベルへの自信と意欲を示す。
これにより、エージェント側も「この求職者は安易なSESでは満足しない」と認識し、紹介する求人の質を上げざるを得なくなります。
自社開発企業が未経験者の採用ハードルを高く設定する理由
では、なぜ自社開発企業は、スクール卒業生のポテンシャル採用にそこまで積極的ではないのでしょうか。その理由は、SES企業とは真逆のビジネスモデルと、採用に伴う「コストとリスク」にあります。
理由①:教育コストと即戦力化までの期間
自社開発企業にとって、エンジニアは「自社の製品価値を生み出す直接的な資産」です。未経験者を採用した場合、即戦力になるまでの半年〜1年の期間、既存の優秀なエンジニアが教育に時間を割く必要があり、これは開発効率の低下という大きなコストに繋がります。
そのため、企業は「教育コストを払ってでも採用したい」と思えるだけの「基礎能力」と「将来性」を、ポートフォリオや面接を通じて徹底的に見極めようとします。採用は「長期的な投資」であり、安易な採用はできません。
理由②:組織の文化と品質基準の維持
自社開発企業は、技術選定から開発手法、コードレビューの基準まで、独自の開発文化と高い品質基準を持っています。この環境に馴染めない人材を採用すると、チーム全体のコード品質や生産性が低下するリスクがあります。
特に、採用担当者は「スクールで学んだ知識が、自社で実践できるレベルに達しているか」を厳しくチェックします。ここで問われるのは、単なる機能実装能力ではなく、「なぜその技術を選んだのか」「エラーをどのように解決したのか」といった、論理的な思考プロセスです。
理由③:募集人数が少なく、競争率が高い
自社開発企業は、SES企業のように大量採用を行う必要がありません。必要なタイミングで必要な人数だけを厳選して採用するため、求人自体の数が少なく、一つあたりのポジションに対する応募者の競争率が非常に高くなります。結果として、スクール卒業生の中でも、圧倒的な実績を持つ一部の層しか採用に至らないという現実があります。
次章では、この厳しい現実を乗り越え、SES企業ではなく、あなたが本当に目指すべき企業を見極めるための具体的なメリット・デメリット比較に進みます。
SES企業への就職は「悪」なのか?メリット・デメリットを徹底比較
「SESばかり」というネット上の言説に触れると、SES企業=ブラック企業、という極端なイメージを抱きがちです。しかし、SES(システムエンジニアリングサービス)はIT業界の重要な一翼を担うビジネスモデルであり、その働き方には**明確なリスク(デメリット)と、キャリア初期の土台作りにおける大きな利点(メリット)**の両方が存在します。
このセクションでは、SESという選択肢を「善悪」で判断するのではなく、あなたのキャリアにとってどう影響するかを客観的に評価するための材料を提供します。
【デメリット】SESで陥りやすい「案件ガチャ」「スキルが伸びない」問題
SESのデメリットとして最も多く指摘されるのが、「案件ガチャ」とそれに伴うスキル停滞のリスクです。
問題①:キャリアを左右する「案件ガチャ」の深刻な影響
SESエンジニアは、所属企業が決めたクライアント先に常駐するため、次にどんなプロジェクトに配属されるかを選べない状況を、ユーザーは「案件ガチャ」と呼びます。
| 案件ガチャの「当たり」 | 案件ガチャの「ハズレ」 |
|---|---|
| 最新技術(クラウド、AIなど)を使った開発業務。 | レガシーシステムの保守・運用、テスト、ヘルプデスクなど。 |
| 要件定義や設計などの上流工程に関わる機会。 | スキルが不要なデータ入力や監視業務。 |
| 自社の教育体制がしっかりしており、OJTで成長できる環境。 | 派遣先で放置され、自社との交流もほとんどない環境。 |
特に未経験の場合、「ハズレ案件」を引くと、プログラミングスキルが全く活かせないまま数年が過ぎ、結果的に市場価値が上がらないという致命的なリスクに直面します。SES企業で働く上で、この「案件ガチャ」のリスクは避けられない現実として受け止める必要があります。
問題②:技術が陳腐化する「作業者」としての側面
SESエンジニアの主な役割は、クライアントが求める技術リソースを提供することです。多くのケースで、任されるのはプロジェクト内の特定の部分的な作業であり、システムの全体像やビジネス戦略を把握する機会が限られます。
その結果、「なぜこの技術が必要なのか」という本質的な視点や、「次にどんな機能を作りたいか」という企画・設計スキルが育ちにくくなり、常に言われたことをこなす「作業者」としての側面が強くなりがちです。自社開発企業への転職を目指す場合、この「企画・設計スキル」の欠如が大きな壁となります。
【デメリット】ブラックな労働環境(長時間労働/低年収)の実態と見分け方
SES企業全体がブラックというわけではありませんが、一部の企業が持つ労働環境の問題が、SES全体のイメージを悪化させています。特に注意すべきは「多重下請け構造」によって生じるリスクです。
実態①:多重下請けによる中間搾取と低年収化
IT業界はピラミッド型の多重下請け構造になっており、SES企業は「元請け」ではなく、その下の「二次請け」「三次請け」となることが少なくありません。下請けになるほど、企業がクライアントから受け取る単価から中間マージンが引かれ、最終的にエンジニアの給与に反映される金額が低くなります。
未経験者の場合、初任給は月給20〜25万円程度が相場であり、自社開発企業と比較して昇給率も低い傾向にあります。自身の市場価値に見合った年収を得るためには、案件単価が社員にどれだけ還元されているか(還元率)を確認することが非常に重要になります。
実態②:客先常駐特有の「サービス残業」リスク
客先常駐の働き方では、クライアント先での労働時間と、自社への報告時間にズレが生じることがあります。クライアント先では長時間労働が常態化しているにもかかわらず、所属するSES企業が残業代を適正に支払わない(サービス残業を強いる)ケースが報告されています。
これは、SES企業がクライアントとの契約上の時間内で利益を確保しようとするためです。特に、「みなし残業」や「裁量労働制」を未経験者に適用する企業は、実質的な長時間労働を強いるリスクが高いため、注意深く確認する必要があります。
【ブラックSES企業の見分け方】
求人票で以下の点に該当する場合は、ブラック企業の可能性が高いと判断できます。
- 研修や教育体制に関する記載が極端に少ない、または抽象的すぎる。
- エンジニアの定着率や離職率を公表していない。
- 給与水準が他社と比較して明らかに低く、昇給・評価制度が不明瞭。
- 福利厚生や自社での交流イベントなどがほとんどない(帰属意識が低い)。
【メリット】キャリア初期に多くの技術・環境を経験できる多様性
ここまでデメリットを解説しましたが、SESは未経験者がITエンジニアとしてのキャリアをスタートさせる上で、自社開発企業にはない大きなメリットを提供します。
メリット①:短期間で多様な開発現場を経験できる「経験値の工場」
自社開発企業では、一つのプロダクトに長く関わるため、技術スタックや開発文化が固定化されがちです。一方でSESでは、数ヶ月から数年単位で常駐先が変わり、その度に新しいクライアント、新しいチーム、新しい技術(Java、Python、Ruby、C#など)、新しい開発手法に触れる機会があります。
これは、キャリア初期に「どの技術が自分に向いているか」「どんな働き方がしたいか」を見極めるための貴重な実験期間となります。特に、将来的にフリーランスを目指す人にとっては、この「現場経験の多様性」は大きな強みになります。
メリット②:開発以外の「IT業界の基礎力」を身につけられる
未経験者が自社開発企業に入ると、いきなり高度な開発を任され、挫折することもあります。しかしSESでは、最初はインフラの運用・保守、テスト、ドキュメント作成など、比較的難易度の低い業務から入ることが多く、ここでIT業界の基礎知識、サーバー・ネットワークの基本、ビジネス上のコミュニケーション能力などを着実に身につけることができます。
これらの基礎力は、その後のキャリアにおいて、真の「即戦力」として認められるための土台となります。一見地味な業務も、キャリアのステップとして捉え直すことが重要です。
メリット③:未経験でも「正社員エンジニア」のキャリアをスタートできる確実性
前述の通り、自社開発企業は競争率が非常に高く、ポートフォリオの出来によっては内定が全く出ないというリスクがあります。しかし、SES企業は未経験者に対して門戸が広く、比較的早期に「正社員エンジニア」としてのスタートを切れる確実性があります。
市場価値の高いエンジニアになるためには、まず「実務経験」というチケットを手に入れることが不可欠です。SESは、その「実務経験」のスタートラインに立つための最も現実的な手段の一つなのです。SESで2〜3年経験を積んだ後、自社開発企業へ転職するというキャリアプランは、非常に一般的で成功率も高い戦略です。
次章では、このSES企業の中から、どうすればデメリットを回避できる「優良・ホワイト企業」を見つけ出せるのか、具体的なチェックポイントを解説します。
SES企業の中でも「優良・ホワイト企業」を見極める3つの視点
前述の通り、SESという働き方自体にメリットとデメリットの両方があります。キャリア初期の土台作りとしてSESを選ぶにしても、**「ブラックなSES」を選んでしまうとキャリアが停滞する**リスクは避けたいところです。そこで重要になるのが、数あるSES企業の中から「優良・ホワイト企業」を正確に見極める眼力です。
ここでは、単なる福利厚生だけでなく、エンジニアのキャリア形成を本当に支援しているSES企業かどうかを判断するための、**専門的な3つのチェックポイント**を解説します。
チェックポイント①:昇給・評価制度の透明性(自社開発部門の有無)
優良なSES企業は、客先常駐という特性上、評価が難しくなる問題をクリアするために、独自の仕組みを構築しています。
透明性の鍵は「還元率」と「評価基準」
SES企業で年収を上げるためには、会社がクライアントから受け取る「案件単価」がどれだけ社員に還元されているか(還元率)が極めて重要です。
- 優良企業:還元率を50%〜70%程度と高く設定し、社員に公開している。単価上昇が即座に給与に反映される仕組みがある。
- 要注意企業:還元率が不透明、または30%台など極端に低い。給与テーブルが曖昧で、昇給の基準が上司の主観に頼っている。
面接やキャリア面談の際に、「案件単価が上がった場合、給与にどれくらい反映されますか?」と具体的な質問をすることで、企業の本質的な姿勢を探ることができます。
自社開発部門や受託案件部門の有無をチェックする
SES専業ではなく、自社プロダクトの開発や、一括請負の受託開発部門を持っているSES企業は、相対的に優良である可能性が高いです。
これは、**自社開発や受託開発を収益の柱にしている企業は、高い技術力を持ったエンジニアを社内に抱える必要があり、育成に力を入れている**ことを意味します。未経験者がまずはSESで経験を積んだ後、社内の自社開発部門へキャリアチェンジできる制度があれば、それは非常に大きなメリットとなります。
チェックポイント②:エンジニアの「帰属意識」を高める自社研修や交流制度
客先常駐の働き方は、社員が自社への帰属意識を持ちにくく、孤独になりがちです。この「孤独」が、スキル停滞や離職に繋がります。優良なSES企業は、これを防ぐための独自の施策を講じています。
自社研修・資格取得支援制度の具体的な内容
単に「資格取得を支援します」というだけでなく、以下の点を確認しましょう。
- 技術的な学習支援:毎月の書籍購入費補助、Udemyなどの有料学習プラットフォームの提供、業務時間内に参加できる社内技術勉強会の有無。
- 常駐終了後の研修期間:案件と案件の間にスキルアップのための「待機期間」を設け、その間も給与が100%支払われる制度があるか。この期間は、次の案件に備えるため、または資格取得に集中するための極めて重要な時間です。
- キャリア形成への関与:営業担当者だけでなく、自社の先輩エンジニアが定期的に面談(メンター制度)を行い、キャリアプランや案件の希望を聞いてくれるか。
「横の繋がり」を重視した交流イベント
エンジニアは、客先では他社の社員に囲まれて働くため、自社のエンジニアと情報交換する機会が貴重です。月に一度の全社集会、有志による技術交流会、社内サークル活動など、**「物理的・時間的な交流の機会」**を企業が積極的に提供しているかは、社員満足度を測る重要な指標となります。
これらの制度が充実している企業は、**「社員を単なるリソースではなく、長期的に育成する資産」**として捉えている証拠です。
チェックポイント③:求人票の曖昧なキーワード(勤務地/案件内容)を避ける方法
ブラックなSES企業の求人票には、未経験者を惹きつけつつ、都合の悪い情報を隠すための「曖昧なキーワード」が頻出します。これらを正確に読み解くスキルが必要です。
「勤務地:一都三県(プロジェクト先による)」の危険性
この表記は、**「通勤に2時間以上かかる遠隔地のプロジェクトに配属される可能性がある」**というリスクを暗に示しています。優良なSES企業は、社員のQOL(生活の質)を重視し、勤務地を東京23区内や主要駅から徒歩圏内など、**具体的なエリアで限定している**ケースが多いです。
面接時には、「現在、未経験者の方が配属されている案件の具体的な勤務地(最寄りの駅でOK)を教えていただけますか?」と質問しましょう。
「案件内容:スキルに応じて幅広いプロジェクト」の裏側
一見、魅力的ですが、この表現は**「スキルがなければ、誰でもできるテストや監視の案件にしか入れない」**という現実を隠している可能性があります。
- 確認すべき項目:「未経験者向けの初期案件」と「1〜3年後のキャリアアップ案件」の具体的な事例を複数聞くこと。
- 具体的な回答例:「初期はJavaを使った顧客管理システムの保守運用からスタートし、半年後には自社内のWebアプリ開発チームに合流するプランがあります」といった、具体的なロードマップを提示できる企業を選びましょう。
優良SES企業を特定するための「第三者情報」活用術
求人情報だけでなく、**企業の評判サイトや口コミサイト(OpenWork, Vorkersなど)**の情報を活用することも重要です。
特に、**「組織体制・企業文化」「社員の士気」「待遇の満足度」**の3項目で、平均点よりも高いスコアを獲得している企業は、社員の離職率が低く、ホワイトである可能性が高いと言えます。ただし、口コミはあくまで参考情報であり、面接を通じて自身の目で確認することが最終的に重要です。
優良なSES企業に就職することは、自社開発へのキャリアアップのチケットを手に入れることと同義です。次章では、SESを回避し、より競争率の高い自社開発企業の内定を勝ち取るための具体的な「転職戦略ロードマップ」を解説します。
未経験から自社開発企業へ就職するための「転職戦略ロードマップ」
これまでのセクションで、SES企業が未経験採用に積極的な構造的な理由と、自社開発企業の内定獲得の難しさを理解しました。しかし、SES企業を意図的に回避し、競争率の高い**自社開発企業や優良な受託開発企業**の内定を勝ち取る道は確実に存在します。
そのためには、スクールで学ぶ「技術」だけでなく、**「採用担当者が何を求めているか」**を徹底的に分析した上での戦略的な準備が不可欠です。ここでは、内定を左右する3つの具体的な戦略ロードマップを解説します。
戦略①:採用担当者が求めるレベルの「オリジナルポートフォリオ」作成
自社開発企業への応募において、ポートフォリオはあなたの実力とポテンシャルを証明する**「唯一無二の履歴書」**です。スクールの課題で終わるのではなく、以下の要素を満たす「オリジナル作品」を作成する必要があります。
【NG例】と【合格ライン】の明確な違い
| 評価される要素 | 不合格になりやすいNG例(スクール課題レベル) | 合格ラインのポートフォリオ(採用担当者が評価する視点) |
|---|---|---|
| 企画力・独創性 | SNS、ToDoリスト、ECサイトのクローンなど、ありきたりなテーマ。 | オリジナリティのある課題解決型の機能(例: ニッチな業界特化のツール、地域課題解決アプリなど)。 |
| 技術レベル | 基本的なCRUD操作のみで、外部連携や非同期処理がない。 | **外部API連携(決済、認証、地図など)、サーバー側での非同期処理**、環境構築にDocker/AWS等のインフラ技術を活用。 |
| プレゼンテーション | 「作りました」で終わり、機能紹介が羅列的。 | 開発背景(なぜ作ったか)→ 課題 → 解決策 → 工夫した技術点を明確に記述。インフラ構成図やER図も添付。 |
ポートフォリオに必ず盛り込むべき「4つの要素」
- **技術的挑戦と問題解決の記述:**単に機能を実装しただけでなく、「認証機能でセキュリティ上の問題を解決するために、〜〜のライブラリを選んだ」といった、**思考プロセス**を詳細に記述しましょう。
- **コードの公開とライセンス:**GitHubでソースコードを公開し、**README.md**に技術構成や動かし方を丁寧に記載します。企業はあなたのコードの品質(可読性、設計思想)をチェックします。
- **インフラの知識:**AWSやGCPといった**クラウド環境にデプロイ**し、その構成図(サービス名と機能)も提示します。未経験者でもインフラの基礎知識を持つことは大きな差別化ポイントです。
- **継続的な開発意欲の証明:**ポートフォリオを完成させて終わりではなく、**リリース後も機能追加や改善を続ける履歴(コミットログ)**を見せることで、学習意欲と成長性をアピールします。
戦略②:自社開発企業が重視する「コードの品質」と「チーム開発スキル」の証明
自社開発企業が未経験者に求めるのは「即戦力」ではなく、**「教育コストを抑えられ、チームに貢献できる素質」**です。これを証明するのが、「コードの品質」と「チーム開発への適性」です。
「コードの品質」を保証するための具体的な行動
採用担当者は、あなたのコードを見て「この人はチームで働けるか」を判断します。以下の実践は必須です。
- **適切な命名規則(コーディング規約)の遵守:**プロジェクト全体で一貫した変数名、関数名を使い、可読性の高いコードを書く。
- **テストコードの実装:**メイン機能だけでなく、重要なロジックに対して**ユニットテスト(RSpec/Jestなど)を記述**し、品質意識が高いことを証明します。テストの有無は、企業が最も重視する要素の一つです。
- **静的解析ツールの活用:**RuboCopやESLintなどの**Linter/Formatter**を導入し、統一されたフォーマットで開発するスキルをアピールします。
これらの実践を通じて、あなたは「技術は未熟でも、プロとして品質を意識する姿勢がある」ことを伝えることができます。
Git/GitHubを通じた「チーム開発スキル」の証明
自社開発の現場では、Gitを使ったチームでの共同開発が基本です。あなたは以下のスキルを証明する必要があります。
- ブランチ戦略の理解:機能ごとにブランチを切り、master/mainブランチに直接コミットしないフローを実践していること。
- **Pull Request (PR) の作成とレビュー対応:**PRで**「何のための変更か」「変更内容」「テスト方法」**を明確に記述し、コードレビューで指摘された点を謙虚に修正する経験を持つこと。
- **ペアプログラミング・モブプログラミングの経験:**スクールや外部のコミュニティで、他のメンバーと共同でコードを書く経験を積み、その経緯を語れるようにすること。
【重要】スクールの卒業制作では不十分な理由
多くのスクールでは、上記のような「プロの現場レベルのコード品質」や「チーム開発の厳格なフロー」までは指導しきれません。自社開発を目指すなら、スクール卒業後も数ヶ月間、独学やコミュニティを通じてポートフォリオをブラッシュアップする期間を確保することが成功の鍵となります。
戦略③:SES以外の求人を紹介してくれる「転職エージェントの賢い選び方」
前章で解説した通り、一般的なエージェントは効率性を求めてSES求人を優先しがちです。あなたの努力を無駄にしないためにも、自社開発への転職に強いエージェントを選び、適切に活用することが必須です。
自社開発・Web系に特化したエージェントを選ぶ
総合型のエージェントではなく、**「Web系」「自社開発」「スタートアップ」**といった領域に特化した専門のエージェントを選びましょう。これらのエージェントは、SES企業とのパイプよりも、自社開発企業との太いパイプを持っているため、質の高い非公開求人を紹介してもらえる可能性が高まります。
- 確認事項:エージェントのWebサイトで、**「紹介実績のある企業名」**に有名Webサービス企業や、成長中のスタートアップの名前が掲載されているかを確認する。
エージェントを「評価・選別」するための戦略的コミュニケーション
エージェントをあなたの「下請け」として使うくらいの意識を持ち、初回の面談で以下の条件を突きつけましょう。
- **希望の企業形態の明言:**「SES企業、客先常駐がメインの企業は、企業規模を問わず一切応募しません」と明確に伝えます。
- **ポートフォリオの提示とフィードバックの要求:**作成したポートフォリオを見せ、「このレベルで、自社開発企業の選考に通過する可能性は何%か? 具体的にどの点が足りないか?」という**厳しく具体的なフィードバック**を求めます。
- **目標設定のすり合わせ:**「まずは自社開発企業のみに応募し、3ヶ月経っても内定が出なければ受託開発企業も検討する」など、期限と段階的な目標を共有します。
このコミュニケーションにより、あなたの本気度が伝わり、エージェントも「質の高い求人を紹介しなければ、この人は他へ行ってしまう」という危機感を持ち、真剣にサポートするようになります。
SESを回避するための最良の方法は、**SES企業が欲しがる「最低限のスキル」を超え、「自社開発企業が投資したいと思えるポテンシャル」**を証明することです。このロードマップを実践し、理想のキャリアを掴み取りましょう。
プログラミングスクールの選び方:SES就職を避けたい人が見るべきポイント
前章で、SESを回避し自社開発企業の内定を勝ち取るための具体的な戦略を理解しました。この戦略の成否を握るのが、**「どのプログラミングスクールを選ぶか」**です。残念ながら、スクールの中には SES 企業との提携を主な収益源とし、卒業生を積極的に SES へ誘導する構造を持つところもあります。
あなたの貴重な時間と費用を無駄にせず、質の高い転職サポートを受け、希望のキャリアを掴むためには、スクールを「学習施設」としてだけでなく、**「キャリアパートナー」**として厳しく見極める必要があります。ここでは、SESリスクを最小限に抑えるための3つの決定的なチェックポイントを解説します。
ポイント①:転職保証の「紹介企業リスト」にSES企業が多いか否か
多くのスクールが「転職保証」や「就職サポート」を謳っていますが、その裏側で紹介される企業の質こそが、スクールの真の価値を映し出します。最悪のケースは、SES企業への就職しか保証されないという状況です。
「転職保証」の落とし穴と確認すべき条項
「転職保証」の謳い文句には、以下の3つのパターンがあり、特に最初のパターンに注意が必要です。
- **SES企業を多く含むパターン:**求人数の多さを確保するため、SES企業を大量に提携先に含み、卒業生に「内定が出た企業(SES)を辞退した場合は保証対象外」という厳しい条件をつけるケース。
- **自社開発・受託開発に特化したパターン:**ポートフォリオの完成度を厳しくチェックし、合格者のみを厳選した優良企業に紹介する。未経験でも高い技術力を前提とする。
- **紹介しないパターン:**提携企業が少なく、実質的にハローワークや一般の転職サイトの求人を紹介するに過ぎないパターン。
スクールへの申し込みを検討する際は、無料カウンセリング時に**「提携している企業リスト(匿名でも構わないので、どのような業種の企業が多いか)」**や、**「転職保証の適用条件」**を、必ず書面または具体的な口頭説明で確認しましょう。
企業の「業態」と「事業内容」でSESリスクを判断する
紹介予定の企業リスト(または過去実績)を見たとき、以下の特徴を持つ企業が多数を占める場合は、SESへ誘導されるリスクが高いと判断できます。
| リスクが高いSES企業の特徴 | リスクが低い優良企業(自社開発/受託開発)の特徴 |
|---|---|
| 事業内容:「ITコンサルティング」「システムソリューション」など、抽象的なワードのみ。 | **事業内容**:「自社ECサイト運営」「SaaSプロダクト開発」「顧客のWebシステム一括受託」など、具体的なプロダクトやサービス名がある。 |
| **職種**:「システムエンジニア(客先常駐あり)」「ITサポートエンジニア」の割合が多い。 | **職種**:「Webアプリケーションエンジニア(自社プロダクト担当)」「フロントエンド/バックエンド専任」の募集が多い。 |
ポイント②:卒業生の「就職先企業名」を公開しているか(自社開発実績の確認)
スクールの実績を評価する上で、最も客観的で信頼できる指標は、**「卒業生がどの企業に就職したか」**を具体的に公開しているかどうかです。「大手企業に多数輩出!」といった抽象的な表現ではなく、具体的な企業名を求めるべきです。
企業名の公開は「実績と自信」の証明
スクールが卒業生の就職先を具体的に公開できるということは、その企業が**「SESではない、知名度の高い自社開発企業または優良な受託開発企業」**であることを示しています。なぜなら、SES企業は大量採用を行うため、一つ一つの内定を公開するメリットが少ない上、優良な自社開発企業への内定実績は、スクールの品質を証明する強力なブランディングになるからです。
- **見るべき点:**有名Webサービス企業、急成長中のスタートアップ、または特定の業界で高い評価を受けている受託開発企業などの名前があるか。
- **判断基準:**公開されている企業リストのうち、**SES企業ではないと明確に判断できる企業の割合**が、全体の3割以上あるかを一つの目安にしましょう。
公開情報がない場合の「代替質問」
守秘義務などの理由で企業名が公開されていない場合でも、カウンセリング時に以下の質問を通じて、実態を把握できます。
- 「過去1年間の卒業生のうち、**自社開発企業に就職できたのは全体の何割**ですか?」
- 「その自社開発企業が扱っている**主要な技術スタック(言語やフレームワーク)**は何ですか?(例: Ruby on Railsが多い、Python/Djangoが多いなど)」
具体的な数字や技術名をスラスラと答えられるスクールは、自社開発企業への転職実績をしっかりと把握し、そのための指導ノウハウを持っている可能性が高いです。
【要注意】「大手IT企業」の実態
「大手IT企業に内定実績あり」という表現は、必ずしも自社開発企業を意味しません。大手SIerや大手企業のグループ会社が持つ大規模なSES事業への就職実績を指している場合もあります。具体的な企業名と、その企業の**「どの部門」**に就職したかを質問することが重要です。
ポイント③:講師・メンターの「現役エンジニア比率」とポートフォリオサポートの手厚さ
自社開発企業の内定を勝ち取る戦略の核は、**「採用担当者を唸らせるポートフォリオ」**です。このポートフォリオの質を担保できるかどうかは、あなたを指導する講師・メンターの質、そしてサポートの手厚さに完全に依存します。
「現役エンジニア比率」がコードの品質に直結する
講師が**「現役の自社開発エンジニア」**であることは、以下の点で非常に重要です。
- **現場のリアリティ:**「現場で本当に使われている技術」「採用基準で重視されるコードの書き方(クリーンコード、テストコード)」といった、**生きた知見**をフィードバックできる。
- **ポートフォリオのレベルアップ:**スクールを卒業しただけのレベル(CRUD操作のみ)では突破できない、**一歩踏み込んだ機能や設計の提案**(非同期処理、Docker/AWS利用、CI/CDなど)ができる。
講師が**「元エンジニア」や「専業メンター」**である場合、知識は豊富でも、最新の技術トレンドや自社開発企業の厳しい採用基準に即した指導ができない可能性があります。現役エンジニアが週に何時間、どの程度サポートしてくれるのかを具体的に確認しましょう。
ポートフォリオ作成サポートの「具体性」を深掘りする
「ポートフォリオ作成を支援します」という言葉だけで満足してはいけません。以下の具体的なサポートが提供されるかを確認しましょう。
| 必須のサポート項目 | 確認すべき具体的な内容 |
|---|---|
| 企画レビュー | 企画のオリジナリティと実現可能性について、現役エンジニアによる**最低2回以上の個別フィードバック**があるか。 |
| 設計・コードレビュー | GitHubを通じて、**プロの目線でコードの品質、可読性、保守性**に関する詳細なレビュー(Pull Request形式での指摘)が受けられるか。 |
| プレゼン資料作成支援 | ポートフォリオの説明資料(README.mdや発表スライド)の構成について、**採用担当者に響く構成**を個別指導してくれるか。 |
特に、コードレビューの質は、あなたが自社開発企業へ転職できるかを左右する最重要ポイントです。形式的なレビューではなく、**「なぜこの書き方ではダメなのか」**を論理的に指導してくれるスクールを選びましょう。
高額な費用を投じる以上、プログラミングスクール選びは単なる受講先の選定ではなく、**あなたのキャリアを大きく左右する「投資判断」**です。これらのチェックポイントを武器に、後悔のない選択をしてください。
SESを経由しても自社開発へ行ける!キャリアアップのための戦略
これまでの章で、SES就職の「リアル」と、それを回避するためのスクール選びの重要性を解説しました。しかし、もしあなたが何らかの理由で**SES企業に就職することを選んだ、あるいはそうなってしまった**としても、決してキャリアが閉ざされるわけではありません。
SESでの実務経験は、未経験から自社開発企業への転職を狙う際に、**強力な「実務経験」という武器**に変わります。重要なのは、SES企業での期間を「キャリアの停滞期」にするか、「飛躍のための準備期間」にするか、あなたの意思と戦略にかかっているということです。
このセクションでは、SES企業に在籍しながら、最短で自社開発企業への転職を実現するための具体的な行動計画と、転職を成功させるための見せ方を徹底的に解説します。
SESでの「案件ガチャ」を自力で有利にするための交渉術と準備
SES最大のデメリットである「案件ガチャ」は、完全に運任せではありません。入社前と入社後に適切な準備と交渉を行うことで、**自力で「当たりの案件」を引き寄せる**確率を格段に高めることができます。
入社前:案件希望の「具体性」で会社をフィルタリングする
優良なSES企業は、社員のキャリア志向を尊重しようと努力します。入社前の面接やキャリア面談の段階で、あなたの希望を抽象的ではなく、具体的かつ論理的に伝える準備をしておきましょう。
- NGな伝え方:「Web系の開発がしたい」「モダンな技術を使いたい」
- OKな伝え方:「私はスクールで Ruby on Rails を習得し、AWSへのデプロイ経験もあります。最初の1年間は、**『自社開発企業への転職に活かせるモダンな言語(Ruby, Python, Goなど)を使った開発案件』**、または**『クラウドインフラ(AWS/GCP)の構築・運用を経験できる案件』**を希望します。」
このように、具体的な技術と目的を明確に伝えることで、企業側も「この社員はキャリア志向が高い」と認識し、教育的な配慮から優良案件を割り当てざるを得なくなります。もしこの段階で「希望は聞くが、最終的には会社が決める」と突き放されるようであれば、そのSES企業は社員のキャリアを重視していない可能性が高いです。
入社後:営業担当者との「交渉のタイミング」と「武器」の準備
一度配属された案件が終了する(契約更新の時期が近づく)タイミングは、次の案件を交渉する絶好の機会です。このタイミングで、営業担当者に交渉するための「強力な武器」を用意しておく必要があります。
- **自己研鑽の実績(資格・学習):**常駐期間中に基本情報技術者試験、応用情報技術者試験などの資格を取得したり、クラウド系の認定資格(AWS SAAなど)を取得したりしておきます。これらは、あなたの「市場単価」を上げる具体的な根拠となります。
- **現場での「評価」の可視化:**常駐先での上長から高い評価(技術力、コミュニケーション能力、勤怠など)を得ておき、可能であればその評価を書面で残すか、営業担当者経由で正式にフィードバックしてもらいます。
- **具体的な希望案件リスト:**ただ「変えたい」ではなく、「次の案件では、**A社の技術スタック(React, TypeScript)**か、**B社の開発スタイル(アジャイル、ペアプロ)**を経験したい」と、具体的に企業名や技術名を挙げて要求します。
優良案件は、市場単価が高い=利益率が高いため、営業担当者も優秀な社員に充てたいと考えます。これらの準備は、あなたが「会社に利益をもたらす価値ある社員」であることを証明するための裏付けとなります。
「客先常駐」の期間を「第二のポートフォリオ作成期間」にする学習戦略
SESに在籍する期間を「単に言われたことをこなす期間」にしてしまうと、市場価値は上がりません。客先常駐の期間を、自社開発企業への転職に必要な「実務経験+αの技術力」を養う「第二の学習期間」と捉える戦略が必要です。
戦略①:GitHubへの「擬似的な実務経験」の蓄積
常駐先で関わったコードそのものを外部に持ち出すことは厳禁ですが、そこで得た「課題解決の経験」や「実務の知見」を、自分の個人開発に転用することは可能です。これにより、ポートフォリオを単なる「趣味」ではなく、「実務を意識した作品」へと昇華させることができます。
- 現場の課題を個人開発で解決:常駐先で非効率だと感じた業務プロセスを題材に、それを解決するためのWebツールを個人で開発し、GitHubにアップロードする。
- **実務レベルのテストコード実践:**常駐先で触れた技術を使って、ポートフォリオのプロジェクトに**カバレッジ率の高いユニットテスト**や**E2Eテスト**を導入し、品質意識の高さを示す。
- **インフラ構成の改善:**常駐先でAWSの運用を学んだら、その知識を活かしてポートフォリオのデプロイ環境をより複雑で堅牢なものに改善し、その改善プロセスをドキュメント化する。
転職面接では、「現場で得た知見を、どう自己成長に繋げたか」という質問に、GitHubのコミット履歴や具体的なドキュメントで回答できるように準備します。
戦略②:常駐先の技術スタックを「深掘り」する学習
常駐先の案件がレガシー技術(古いJavaやC#など)であったとしても、嘆く必要はありません。その技術の**「なぜ今も使われているのか」「将来的にどう移行されるのか」**という本質を理解することで、一気に市場価値を高めることができます。
- **深く掘り下げる:**案件で使っているフレームワークの**公式ドキュメント**を隅々まで読み込み、内部構造や設計思想を理解する。
- **移行技術を学ぶ:**古い技術の案件にいるなら、その技術からモダンな技術(例: JavaからKotlinへ)への移行ロードマップを自力で描き、そのモダン技術を使ったデモアプリを個人で作成する。
「この人は、どんな環境に置かれても、与えられた技術を最大限に学び尽くそうとする」という姿勢は、自社開発企業が最も評価する「自走力」の証明になります。
【目標設定】SES在籍期間は「2年」を目安に
SES企業で実務経験を積む期間は、**1年半〜3年程度**が理想です。1年未満では経験値が浅く見られがちで、4年を超えると「転職意欲がない」「SESに慣れすぎて自社開発の文化に馴染めない」と判断されるリスクが高まります。**2年を目安**に、計画的な転職活動を開始しましょう。
SES経験を自社開発企業への転職で「強み」に変える見せ方
SESでの実務経験をネガティブな要素と捉える必要はありません。見せ方一つで、自社開発企業が喉から手が出るほど欲しい**「ビジネスマンとしての基礎力」**と**「多様な経験値」**に変えることができます。
強み①:「技術力」ではなく「ビジネススキル」を証明する
自社開発企業は、技術力だけではなく、エンジニアとしての**問題解決能力、コミュニケーション能力、自律性**を重視します。これはSES経験を通じて最も磨かれるスキルです。
| SES経験で得たスキル | 自社開発企業へのアピールポイント |
|---|---|
| **多様な現場での経験** | 「異なる企業文化や技術スタックに短期間で順応できる高い適応力」 |
| **上流工程(設計・要件定義)の知識** | 「客先でPMやSEと関わり、技術だけでなくビジネス要件や上流工程のプロセスを理解している点」 |
| **コミュニケーション能力** | 「クライアントの非IT部門の担当者など、非エンジニアとの円滑な連携ができる高いコミュニケーション能力」 |
面接では、「〇〇の案件で、クライアントの要望が不明瞭だった際、**どのような論理的手順**で要件を明確にし、開発を成功させたか」といった、具体的なエピソードを準備しましょう。
強み②:徹底的な「ポジティブ変換」でネガティブ要素を打ち消す
「案件ガチャでハズレを引いた」という事実も、見せ方次第でポジティブに変換できます。
- 【例】地味な保守・運用案件だった場合:「最新技術の開発案件ではありませんでしたが、レガシーシステムにおける『品質を維持し、安定稼働させるための仕組み』や、**『エラー発生時の迅速な初動対応』を徹底的に学びました。これは、自社プロダクトの『長期的な保守運用』に不可欠な視点だと確信しています。」
- 【例】スキルが伸び悩んだ期間があった場合:「初期の1年間はポテンシャル採用で基礎業務が中心でしたが、その期間に**『実務で求められるレベル』**を肌で感じ、そこから遅れを取り戻すために個人開発で〇〇の成果を出しました。**『自力で学習計画を立て、実行できる自走力』**が強みです。」
自社開発企業は、SES経験者に潜む「能動性の欠如」を最も懸念しています。あなたは、**SESの環境に「流される」のではなく、自ら「学び取った」**ことを、具体的な実績と論理的な言葉で証明する必要があります。
SESは、あなたにとってキャリアをスタートさせるための「踏み台」であり、「回り道」ではありません。この戦略を実行し、実務経験という強力なチケットを手に、理想の自社開発企業への道を開いてください。
よくある質問(FAQ)
プログラミングスクール卒業後の転職先がSES企業ばかりになるのはなぜですか?
結論として、卒業生全員がSESになるわけではありませんが、未経験者の就職先としてSESの割合が高いのは事実です。これには主に2つの構造的な理由があります。
- 求人数の構造: 日本のIT業界は客先常駐(SES)のビジネスモデルが大きく、市場に出回る未経験者向けの求人全体のうち、SES企業からの募集が圧倒的に多いためです。(参考記事本文より、ITエンジニアの約6〜7割が客先常駐に関わるとされます。)
- スクール側のビジネス構造: 多くのプログラミングスクールは、企業への紹介で「人材紹介料」を得るビジネスモデルです。SES企業は未経験者の採用に積極的で、選考プロセスも短いため、スクール側はSES企業と提携することで「転職成功実績」を効率よく積み上げやすいインセンティブが働くためです。
SES企業に就職するデメリットは何ですか?
SES企業に就職する上で、特に注意すべき主なデメリットは以下の3点です。
- 案件ガチャのリスク: 自分の希望とは関係なく、スキルアップに繋がらないレガシーシステムの保守運用やテスト業務などの「ハズレ案件」に配属されるリスクがあり、市場価値が停滞する可能性があります。
- スキル停滞のリスク: 任される業務が限定的になり、「作業者」としての側面が強くなりがちです。システムの全体像や企画・設計などの上流工程スキルが育ちにくく、自社開発企業への転職時に壁となることがあります。
- 多重下請けによる低年収化: 会社の利益を確保するため、クライアントから受け取る単価に対する社員への還元率が低く設定され、自社開発企業と比較して低年収になりやすい傾向があります。
ただし、後述する優良・ホワイトなSES企業を選べば、これらのリスクは最小限に抑えることが可能です。
SESでもホワイト企業はありますか?
はい、SESという働き方自体がブラックなわけではなく、エンジニアのキャリア形成を真剣に支援する「優良・ホワイト企業」は存在します。見極めるための主なチェックポイントは以下の通りです。
- 高い還元率と評価制度の透明性: 案件単価に対する社員への還元率(50%〜70%程度)を公開しており、昇給の基準が明確であること。
- 教育・交流制度の充実: 業務時間内の社内技術勉強会、資格取得支援制度、案件と案件の間にスキルアップのための「待機期間」を給与100%支給で設けているなど、自社研修やエンジニア同士の交流を積極的に支援していること。
- 自社開発部門の有無: SES専業ではなく、自社プロダクト開発や受託開発部門を持っており、技術力の高いエンジニアを育成する文化があること。
これらの制度が充実している企業は、社員を「リソース」ではなく「長期的な資産」として捉えている証拠であり、ブラック企業を回避する上で重要です。
プログラミングスクールを卒業すればSES以外の自社開発企業に転職できますか?
はい、SES以外の自社開発企業や優良受託開発企業への転職は可能ですが、非常にハードルが高いのが実態です。自社開発企業は募集人数が少なく、競争率が高いため、内定を勝ち取るには「それに見合う戦略的な努力」が必須となります。
- 鍵はポートフォリオの質: スクール課題レベルではなく、オリジナリティのある課題解決型の機能、外部API連携、クラウド環境へのデプロイ(AWS/GCP)、そしてテストコードを盛り込んだ「プロレベルのポートフォリオ」が必要です。
- コードの品質と自走力の証明: 適切な命名規則やコーディング規約の遵守、Git/GitHubを使ったチーム開発への適性(Pull Requestの作成経験など)を証明し、「教育コストを抑えられる素質」と「自力で学習を進める自走力」をアピールする必要があります。
SESを回避するための最良の方法は、SES企業が欲しがる最低限のスキルを超え、自社開発企業が「投資したい」と思える圧倒的なポテンシャルを、ポートフォリオを通じて証明することです。
まとめ
プログラミングスクール卒業後のキャリアは、決して「SESばかり」という一本道ではありません。不安を煽るネットの言説は、IT業界の構造と、スクール側のビジネスインセンティブに起因していることがわかりました。しかし、正しい知識と戦略を持つことで、あなたは自分の意志で、理想とする自社開発・優良受託企業への道を切り開くことができます。
✅ 転職を成功させるための最重要ポイント
あなたのキャリア選択は、以下の戦略にかかっています。
- 【真実の理解】未経験採用はSESの割合が高いが、努力次第で約50%の優良企業枠を狙える。
- 【戦略的学習】スクール課題レベルではない、採用担当者を唸らせるオリジナルポートフォリオを完成させる。
- 【自社開発戦略】テストコードやインフラ知識など、「コードの品質」と「チーム開発スキル」を証明する。
- 【リスク回避】SESを回避したいなら、エージェント・スクールに初期段階で明確な意思表示を行う。
- 【キャリアアップ】もしSESを経由しても、在籍期間を「第二のポートフォリオ作成期間」と捉え、2年を目安に自社開発への転職を狙う。
曖昧な情報に振り回されるのは、もう終わりにしましょう。あなたが目指すべきは、「言われたことをこなす作業者」ではなく、「自社のサービス価値を高める開発者」です。
あなたの未来は、あなたの現在の「行動」によってのみ作られます。
今すぐにでも、この記事で学んだ「転職戦略ロードマップ」に基づき、ポートフォリオの改善、技術の深掘り、そして自社開発に特化したエージェント選びを開始してください。エンジニアとしての価値は、学んだスキル量ではなく、それを「市場でどう証明するか」にかかっています。
さあ、いますぐGitHubを開き、あなたの理想の未来に向けた、次のコミットを始めましょう!






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